事業・技術紹介

新四万十川橋

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写真上:背割堤を走る国道321号から新四万十川橋を見上げる

link 2012年度 土木学会デザイン賞 優秀賞受賞

 

小京都中村の風景に相応しい橋梁設計

一般国道56号中村宿毛道路の新四万十川橋は、日本最後の清流と謳われる「四万十川」を渡河し、歴史と自然に恵まれた観光都市四万十市(旧中村市)に位置しています。橋梁形式は、RC橋脚と鋼床版箱桁を剛結した最大支間145mの連続複合ラーメン箱桁で、4径間(100+144.4+145.1+62)+3径間(75+85+85)からなる橋長約700mの橋梁です。基礎形式は、経済性、工期、河川環境への影響に留意し、鋼殻設置型のニューマチックピアケーソンを採用しています。

 

当社は、20年以上も前から本橋の事業に関わっており、1988年の景観検討業務に始まって、1999年からは景観検討委員会の運営、予備設計業務、詳細設計業務を担当してきました。その過程において、右岸側のアプローチは、大規模な切土法面を回避するためにトンネル構造とし、さらに、トンネル坑口部の切土を抑えるために橋台と坑口を一体化させるなど、橋梁景観だけでなく前後の道路構造を含めた全体景観に配慮しました。

また、詳細設計業務完了後も、桁架設直前に大きな色見本を用いて、鋼桁塗装色を現地で発注者とともに検討するなど、当社は計画から完成の段階まで、設計者の立場で事業者と密接に伴走し、2009年3月に本橋は供用にいたりました。なお、本橋の景観検討業務に対しては、2001年に国土交通省四国地方整備局から優良業務表彰と優秀技術者表彰をいただきました。

四万十川上流側から見た全景

四万十川上流側から見た全景

橋梁計画においては、四万十川流水部の支間長を、背割堤※1を跨ぐ支間長と同規模に拡大することで、視覚的なバランスを確保し、これによるコスト増は、新形式の橋梁構造を適用することで圧縮に努めました。また、意匠デザイン面では、桁高変化曲線への3次曲線の適用と橋脚断面形状への楕円形(3心円)の適用により、見た目の印象を和らげています。その他にも、鋼桁現場継手部における現場溶接の採用、足場用吊り金具の省略や排水管を極力目立たせない工夫など、細部にわたって十分な景観的配慮を加えました。なお、鋼桁塗装色には、日本の伝統色である「瓶覗き※2」という微妙な色合いを用いたことで、湿潤な気候と小京都中村にある橋としての存在に配慮できたと思っています。

 

※1:「背割堤」とは、二河川の間にある堤防で、合流点を下流へ移し、水位差による影響を軽減させる堤防のことです。架橋地点の背割堤は、四万十川と中筋川の間にあり、四万十川の増水時における「中筋川低地帯の水没防止」を目的に設置されたものです。
※2:「瓶覗き」の「瓶」は藍瓶のことで、糸や布を藍瓶にちょっと潜らせ染め出される色に由来する色名です。藍染めは薄い色の段階では緑色ですが、瓶覗きは緑みを含まず藍染めで染めたもっとも淡い青色をさします。

 

所 在 地

高知県四万十市

発 注 機 関

国土交通省四国地方整備局中村河川国道事務所

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