事業・技術紹介

伊良部大橋

伊良部大橋(主航路部)

伊良部島は、沖縄本島から南西方に約310キロ離れた宮古島の北西に位置します。伊良部島と宮古島間は、定期船での往来が可能でしたが、悪天候による欠航や、夜間や早朝の緊急医療の対応、教育、福祉など様々な離島特有の問題を抱えていました。昭和49年(1974 年)、伊良部村が宮古島と安全に行き来出来る架設要請を始め、41 年の歳月が過ぎた平成27年(2015 年)1月31日、伊良部大橋の開通式を迎えました。

亜熱帯地域の宮古地方、爽快な空と海の青さはすばらしく、美しい光景です。しかし、橋にとっては、灼熱の太陽が照りつけ、塩分を含む熱風に曝される厳しい環境にあります。また、台風が強い勢力のまま通過することが多く、風速もその頻度も非常に高い地域となっており、伊良部大橋主航路部の設計基準風速はU33= 82.2m/2に設定しています。このような厳しい塩害・強風環境の中でも 100 年間の耐久性を確保するため、大日本コンサルタント株式会社は、株式会社中央建設コンサルタントとのJVで主航路部の詳細設計を、また全線に対する景観デザインを担当しました。

 

橋梁形式

本橋の主航路部は、当初、アーチリブが上方に開き、アーチリブ同士が上方で横につながれていない中路式の鋼アーチ橋で計画されていました。暴風によりアーチリブが大きく揺れ、繰り返し揺れることで起こる疲労損傷や損傷後の補修が困難になることから、100年間の耐久性に問題があることがわかり、橋梁形式の見直しが行われました。橋梁形式の見直しは、耐風対策や塩害対策を考慮した維持管理費の縮減から、飛来塩分の付着量を減らし塗装の塗替えを軽減できる、表面積が少ない8角形の単箱桁断面の鋼床版箱桁橋に決定しました。伊良部大橋_断面図

伊良部大橋_側面図

 

耐風設計

上面傾斜角θと平場長L_02本橋の耐風設計では、エッジ断面の上面傾斜角θと平場長Lが異なる6ケースを用意し、たわみ渦励振(限定振動:照査風速82.2m/s)とフラッター(発散振動:照査風速108.5m/s)に着目して縮尺1/64の2次元模型風洞試験を実施しました。その結果、上面傾斜角θ=18°,L=1.399m(実長)とする断面形状が、渦励振を抑制する耐風安定性上最も優位な断面であることがわかりました。フラッターはいずれの断面も発生しませんでした。

伊良部大橋は、海上面から路面までの高さが非常に高いため、自転車に乗った人や通行等による海への転落事故を防ぐために、車両防護柵支柱に手摺を25cm嵩上げしました。その影響についても縮尺1/20の2次元模型風洞試験により確認しました。縮尺1/64より模型精度の高い縮尺1/20の風洞試験でも、渦励振は発生しませんでした。

嵩上げされた車両防護柵架設時では、地覆・車両防護柵を設置しない断面で2次元模型風洞試験(照査風速59m/s)を実施しました。その結果、許容振幅をはるかに超えるたわみ渦励振が発生することがわかりました。そこで、完成時断面と同じ空力特性とする(地覆・車両防護柵を架設時から設置)ことで渦励振を抑制しました。

 

耐久性設計

厳しい塩害環境の中で100年間の耐久性を確保するため、伊良部大橋主航路部の防食には現時点で最も耐食性が期待できる「アルミニウム・マグネシウム合金(Al95%-Mg5%)溶射」を採用しました。国内での実績はこの橋梁規模では初めてで、安定した品質の確保が容易ではないことが懸念されたことから、塗装防食便覧におけるC-5塗装系との組合せで重防食塗装として使用することにしました。アルミニウム・マグネシウム合金溶射は、犠牲防食により鋼材を保護するもので、耐磨耗性に優れ自己修復機能を有している特徴があり、北海油田など海洋構造物の防食用として海外で実績のある防食法です。

構造詳細の配慮は、桁外面には塩分付着をさせないように突起物を最小限としました。また、現場塗装が必要となる現場継手部を極力減らために箱桁の大ブロック化を図りました。本橋には断面中央に農水管等が添架されており、桁の端部は複雑な部材が入り組んでいるため、桁内へ塩分の流入を防ぐために、桁端部に蓋をしました。

排水装置路面排水装置_04排水装置は、桁を貫通させた排水管を設置するのが一般的ですが、主航路部では防食塗装が困難な排水装置取り付け金具を必要とせず、路面に降った雨水は鋼製地覆の開口から外へ直接排出する案を計画しました。排出には汚れが目立ないように鋼製樋も考えましたが、汚れそのものはあっても目立たず、逆に橋に付着した塩分を雨水によって多少なりとも洗い流すことに期待できるというメリットの方が大きいことから、主桁の張出し部上面から側面、下面と流れ、支承付近に設置した水切りによって海上に流すことにしました。

 

景観設計

伊良部大橋_景観検討耐風安定上決定される主桁一般部の断面形状を変えることなく、桁高が変化する中間支点部に着目して、桁形状と橋脚形状をデザインしました。対象の主航路部は陸上からは2km以上離れているため細部形態を見ることはできませんが、橋の下を通過する船舶などの視点が存在します。この見え方から、「控えめで正調(規則正しい)な形態」が景観上望ましいと判断し、主桁の中間支点部は桁高変化が際立つA案を採用し、下部工については直線要素で造形される直線バチ案としました。

主航路部の桁色は海の色が映り青みがかかって見えますが、マンセル値N7.5(明るい灰色)の無彩色が採用されています。

伊良部大橋の親柱宮古島側の親柱は、島を代表する英雄「久松五勇士」をモチーフにできないかとの要請を受け、5枚の壁が海を守るように囲む形をイメージしたデザインとしています。

伊良部島側の親柱は、サシバをイメージしたデザインとなっています。

※久松五勇士
日露戦争の日本海海戦の直前、ロシアバルチック艦隊の到来を本土に伝えるため、170㎞の距離を15時間かけてサバニを濃ぎ、決死の思いで石垣島に渡った5人の勇士。宮古島や石垣島では郷土の英雄とされています。

 

上部工架設計画

主航路部の上部工の架設計画は、珊瑚へ影響なく品質を確保するため、主桁を3つの大ブロックに分割し3000t吊級のクレーン船で架設する計画としました。(実際は4000t吊のクレーン船)中央径間部の大ブロック桁を最後に落とし込むには、吊っている桁と架設済みの桁とが衝突しないように隙間をあける必要があります。予め伊良部島側の側径間桁を250mm伊良部島側へずらして架設し、中央径間架設完了後に伊良部島の桁をもとの位置にもどす架設としています。それを可能とするには大ブロック架設に設置したセッティングビーム(FC架設後に仮受けする桁)もスライドできるようにしています。また、セッティングビームに移動足場(架設後、継手位置に移動する足場)を載せ、継手部の溶接、溶射、塗装ができるように工夫しました。

3000t吊FC大ブロック架設概要図

セッティングビームと移動足場

仮置きされた中央径間ブロックのセッティングビームと移動足場

架設時期は波が比較的穏やかで、台風が通過しない3月下旬から5月までの時期としました。施工条件により大ブロックの地組立は宮古島周辺の港での組立でしたが、実際の施工では、製作工場で大ブロック地組立となり、海上輸送は動揺の危険を防ぐために計測しながら運搬されています。2012年4月28日に伊良部島側、5月16日に宮古島側の側径間が架設され、中央径間は天候不順で延期を余儀なくされ、翌年2013年4月に架設を完了しています。

伊良部大橋_架設写真_01

実橋計測・試験結果からの考察

本橋は、風観測結果や載荷試験等がなされ、その結果については別途報告がなされております。その報告では設計で設定した数値は妥当であったという報告がなされております。
その中の構造減衰(対数減衰率)に着目して考察します。
橋を設計する時点では実際の橋の構造減衰は不明ですので、既往の橋を調査して推定した道路橋耐風設計便覧の推定式を用います。本橋は、分類として「けた橋」で、「ゴム支承の場合」の推定式(0.35/√L,L:最大支間長180m)で計算しますと0.026という値になります。本橋は桁の外面はボルト継手がなく、例のない桁断面形状でしたので、推定式より低いのではと懸念されました。そのため、構造減衰を0.02と低めに設定して検討を行いました。今回の載荷試験結果は平均0.029でしたので、耐風安定性上は揺れを止める力が設計推定値より大きく安全側にあります。また、本橋の場合でも便覧の推定式を用いてよいことがわかりました。

 

こうして完成した橋は、本橋のために設置された数々の委員会、設計・施工に携わった多くの方々、事業主である沖縄県の成果です。主航路部の詳細設計、および全線にわたる景観デザインの担当として、約10年間本事業に携わることができたことは誠に光栄であり、今後とも市民とともに見守り続けていきたいと思います。

 

橋   名
伊良部大橋(主航路部)
所 在 地
沖縄県宮古市平良字久貝~伊良部字池間添地先
事 業 主
沖縄県宮古土木事務所
橋   長
420m
支 間 長
119 +180 +119m
構 造 形 式
3径間連続鋼床版箱桁橋
工   期
詳細設計 平成21年2月~平成22年3月

 

ニャッタン橋|日越友好橋

ニャッタン橋

ベトナムの首都ハノイ市の新たな玄関口

ニャッタン橋(日越友好橋)は、ベトナムの首都ハノイ市における物流の効率化、交通渋滞の緩和を目的に、ノイバイ国際空港からハノイ市中心部を繋ぐ環状2号線の一部として日本のODAにより建設された橋梁です。当社は、株式会社長大との共同企業体で本プロジェクトに参画し、主橋梁部の詳細設計および施工監理を実施しました。

ニャッタン_全体側面図

ニャッタン橋は東南アジア最大級の橋梁で、その総延長(取付橋部を含む)は3,755mに及びます。紅河をまたぐ主橋梁部は、河床の経年変動を考慮し、橋長1,500m(中央径間長300m)の6径間連続合成2主I桁斜張橋が選定されました。

上部工は鋼製2主I桁とプレキャストRC床版との合成桁構造とし、主ケーブルは被覆平行線ストランドを採用しています。主塔はA型の鉄筋コンクリート製とし、塔頂に鋼製ケーブルアンカーボックスを設置しました。基礎工には、日本発の技術である鋼管矢板井筒基礎がベトナム国では初めて採用されました。

ニャッタン2CIMG0956w2

2007年2月の詳細設計開始から約8年を経て、2015年1月4日に完成式典を迎え、供用が開始されました。ニャッタン橋は日越友好橋とも呼ばれ、日本とベトナムとの友好関係を象徴するとともに、ハノイ市の新たなシンボルとなっています。

ニャッタン橋開通後の様子

 

架 橋 位 置
環状2号線(ハノイ市中心部~ノイバイ国際空港区間)紅河渡河部
事 業 者
ベトナム国交通運輸省・第85プロジェクト管理局
橋   長
全橋長:3,755m、主橋梁部:1,500m
支 間 長(主橋梁部)
150m+4@300m+150m=1,500m
総 幅 員(主橋梁部)
総幅員35.6m、有効幅員30.4m
構 造 形 式
上部工 6径間連続合成2主I桁斜張橋
主  塔 鉄筋コンクリート製A形主塔
下部工 鋼管矢板井筒基礎

志賀ルート

志賀ルート

土木学会デザイン賞2001最優秀賞受賞

 

自然と共有する道づくり

志賀高原の豊かな自然環境は、豊富な水源とそれを基盤にした原生自然にあります。志賀ルート建設に伴い、このエリアで成立している生態系へのインパクトを最小限に食い止めるよう現地調査を重ね、有識者へのヒアリング等も参考に出来る限りの配慮を行いました。

志賀高原の水は、人々の飲料水、温泉の水源、さらに動植物の生息環境の糧として重要な資源であり、その水源周辺は上信越国立公園特別保護地区にも指定されています。当該道路のルート選定にあたっては、特に水源への影響を回避する道路設計を行いました。

 

生態系に配慮した道路線形

志賀ルート

地山に沿った道路線形を基本に横断勾配の大幅な改良はせず、新たな土地に改変を極力避けることにより、沿道の森林植生の保全に努めました。

道路周辺に生息する動物たちの環境を守るため、極力土工構造による地域の分断や地形改変は避け、橋梁やトンネルを用い動物の生息環境を保全しました。また、やむを得ず移動経路を分断する箇所には動物専用のトンネルを数カ所に設置しました。なお、移動経路設置後、動物がこれを利用していることを確認しています。

地形に沿った線形

 

動植物の生息環境や景観に配慮した法面構造

表土は1cmできるのに100年から400年かかるといわれます。工事時に、まずその表土を丁寧に採取・保管し、これを新設法面に移すことで自然の復元力に期待しました。今では道路法面に樹木が成長し、緑豊かな道路となっています。この巨石積み擁壁および表土復元による法面形成は、植生の保全や景観上好ましいばかりでなく、小動物の生息場所として機能します。

巨石積みの緑この志賀ルートにある法面は、特にトンネル工事中現地で掘り出された巨石を空積みして造られています。これにより、山の呼吸を促し木本類の生育を容易にすると同時に、自然環境に調和した道路構造を実現しました。

 巨石の緑

 

周辺環境と調和した橋梁デザイン

志賀ルート山岳部に計画された3つの長大橋および中小橋梁は、豊かな自然環境を極力改変することなく、また既存景観を阻害することのないように注意深く計画を行いました。

 橋梁計画における統一配慮事項として、斜面上の基礎工施工に地山の改変が少ない深礎工法を採用し、上部工は周辺植栽に影響が少ない架設工法を選定できる鋼桁を採用しました。各橋梁の橋脚は形態・架橋位置に相応しいデザインを個々に検討しました。

なお、フェイシアラインの連続、橋台部の形態調整、付属物処理など、各部のディテールについても相応しい配慮を随所に施しています。

十二沢橋:八角柱T型橋脚

坊平橋:円柱T型橋脚

清水沢橋:大きな面取りを施した壁式橋脚
清水沢橋

 

所 在 地

長野県下高井郡山ノ内町志賀高原

事 業 者
長野県 中野建設事務所
竣 工 期 間
1993年〜1997年

はまみらいウォーク

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2012グッドデザイン賞受賞
土木学会デザイン賞2011優秀賞受賞

 

水面上に浮かぶ透明なチューブをイメージして

 

横浜駅から「みなとみらい21」地区への新たな玄関口となる歩行者専用デッキで、横浜駅側からは帷子川を跨いで、日産本社ビルと水際線プロムナード(川沿いの遊歩道)に接続します。

横浜駅側から日産本社ビルを望む

横浜駅側から日産本社ビルを望む

設計業務はデザインコンペに優勝したことにより獲得したもので、当初より、空や水を映しながら水面上に浮かぶ透明なチューブをイメージし、さわやかな風を受けるとともに風雨から歩行者を守る工夫を流線型断面のフォルムに込めました。その実現のため、シェルター(屋根)に曲面ガラスを採用し、桁構造がチューブ状に連続するように箱桁断面形状を決定したことが、本橋の大きな特徴です。

構造形式は、橋長約101.5m、有効幅員10.4mの2径間連続鋼床版箱桁ラーメン構造で、基本設計にて設計条件を見直し、当初の単径間から河川内に橋脚を設置する2径間に変更しています。その結果、桁高を薄くでき、橋脚形状に紡錘形断面を採用することでスレンダーなシルエットに磨きがかかると共に、鋼重低減にもつながりました。

また、P1橋脚に当社特許技術の複合PCウェル工法を活用するなど、高いデザイン性を確保しながら適切なコストダウンの提案、実現も果たしています。その他、構造ディテールや照明装置等、細やかな部分にまで工夫を重ね、「みなとみらい21」地区のイメージに沿ったデザインに仕上げていきました。

 

はまみらいウォーク 05

 

所 在 地

横浜市西区

発 注 機 関

横浜市都市整備局

新豊橋

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平成19年度土木学会田中賞(作品部門)受賞
2007年度グッドデザイン賞「建築・環境デザイン部門」受賞
土木学会デザイン賞2009最優秀賞受賞

 

歴史と品格のある隅田川に調和する斬新なデザインの提案

 

東京都足立区と北区を結ぶ新豊橋が、2007年3月に開通しました。本橋は、隅田川を渡河する32番目の橋長105mの橋梁であり、当社は本橋に関する「詳細設計」、「景観委員会の運営」、さらには「架橋工事監理」を担当しました。

江戸時代以来、市民に親しまれてきた隅田川には、様々な橋が架けられており、水上バスが運行されるなど東京の名所の1つとして広く親しまれています。なかでも、関東大震災からの復興時に帝都復興局によって架けられた永代橋、清洲橋などが重要文化財に指定された橋梁群は、現在も隅田川のシンボルとなっています。このような往時の橋を見習い、現代の都市景観に調和した後世に残る新しい橋を目指し、学識経験者、地域住民代表、独立行政法人都市再生機構などで構成された「隅田川渡河橋景観委員会(委員長:篠原 修 政策研究大学院大学教授)」にて本橋のデザインが検討されました。さらに、地域住民への説明と意見交換も設計の進捗に合わせて実施されました。

写真-1 写真-2
写真-1 第1案:鋼単径間トラス橋 写真-2 第2案:鋼単純ニールセンローゼ橋
第1案:鋼単径間トラス橋 第2案:鋼単純ニールセンローゼ橋
写真-3  写真-4
写真-3 第3案:鋼単径間斜張橋 写真-4 鋼アーチ補剛単純箱桁橋
第3案:鋼単径間斜張橋 鋼アーチ補剛単純箱桁橋

新豊橋は、「日常的な都市生活空間の中の道具としての橋」、「人のぬくもりや時代のメッセージを感じるような橋」、「時代の最先端や新しい発想を取り入れた橋」などをデザインコンセプトとし、橋梁形式の選定においては、線形、橋長、河川条件、地盤条件、その他の各種設計条件を踏まえた形式案を抽出の上、構造性、施工性、経済性、景観の面で比較を行いました。そこで、写真-1~3にあるような既往の形式の全体模型により、建設中の周囲の中高層マンション群との調和という観点から、比較検討を行いました。しかしながら、既往の形式では満足できる形態が見あたらなかったため、先のデザインコンセプトに基づき、写真-4にあるような、桁橋をアーチで補剛する構造で形を洗練させた新たな橋梁形式を考え出しました。

本橋の視覚的な特徴であるアーチ曲線には、手書きのスケッチを数多く繰り返して得られた微妙なラインを採用しました。さらに、細部のデザインまで慎重に検討を行うことで、周辺環境に調和した、他にあまり例のない斬新な橋梁を創出することができました。

 

新豊橋の夜景

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〈写真提供:八田政玄〉

 

所 在 地

東京都足立区~北区

発注機関
独立行政法人 都市再生機構 東京都心支社
委員会運営
株式会社URリンゲージ

築地大橋

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隅田川の新たなゲート

「東京都市計画道路環状第2号線」は、並行する晴海通りの渋滞緩和や地域交通の円滑化、地域防災性の向上を整備目的として計画されました。「東京都市計画道路環状第2号線」に計画された築地大橋は「建設後100年を経てもなお東京都民の誇りとなる橋」をコンセプトとしており、橋梁構造から細部までの一貫したデザインと、上部工・下部工の詳細設計を当社が担当しました。6車線+両側歩道の広幅員に対して、力学的に安定した長寿命の美しい橋としてアーチ形式が採用されました。

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 歩道側にアーチリブを約14度傾けた特徴的なシルエットのアーチ橋が選定され、車道上部に横支材を必要としないデザインは、通行時の圧迫感がなく、景観の観点から周囲との調和を図っています。歩道部は、緩やかなカーブにより車道から分離されており、河川中央付近では、見晴らしの良い景色を臨むことができます。

隅田川橋りょう(仮称)横断図

歩道側に約14度傾けたアーチリブからアーチ面内に配置した吊材(ケーブル)は、主に車道を支え、アーチリブからの鉛直材は歩道を支えています。地震時には、アーチリブ、吊材、鉛直材で形成された三角形により、面外座屈を抑制します。その結果、アーチ断面をコンパクトに抑えることができました。

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隅田川に架かる、重厚なイメージのアーチ橋である永代橋や、橋門構を想起させる横繋ぎ材を有する勝鬨橋とは異なり、築地大橋は、アーチリブが左右に14°傾斜した横繋ぎ材のない双弦アーチを採用した日本に前例のない新しい構造です。広幅員を有する道路橋にアーチ形式を適用する場合に有効な提案ができたと考えています。

築地大橋(2015年2月撮影)

築地大橋・アーチ

 

築地大橋の架設工事

2014年5月8日、「東京都市計画道路環状第2号線」築地大橋の中央径間大ブロック(アーチ部分)架設工事が実施されました。

隅田川は、川幅が約220m、中央航路が約100mで水上交通量が多いことから、航路の閉鎖時間を短くできる大ブロック架設工法が選定され、部材は海上輸送とし、地組みヤードは最寄りのふ頭を利用しました。

平成26年9月30日に「築地大橋」と名称が決定されました。

 

架 橋 位 置
中央区勝どき五丁目から同区築地五丁目地内
事 業 者
東京都
担 当 部 署
東京都第五建設事務所(建設局)
橋   長
245m =(50m+145m+50m)
支 間 長
49.85m+145.00m+49.85m
総 幅 員
32.30m 〜 48.00m
幅 員 構 成
4.00m(自転車歩行者道部)+ 2×10.25m(車道部)+ 4.00m(自転車歩行者道部)
構 造 形 式
上部工 鋼3径間連続中路式アーチ橋
下部工 A1橋台:逆T式 橋脚:壁式 A2橋台:壁式基礎工
A1橋台:鋼管杭 橋脚:鋼殻ケーソン A2橋台:場所打ち杭

新四万十川橋

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写真上:背割堤を走る国道321号から新四万十川橋を見上げる

link 2012年度 土木学会デザイン賞 優秀賞受賞

 

小京都中村の風景に相応しい橋梁設計

一般国道56号中村宿毛道路の新四万十川橋は、日本最後の清流と謳われる「四万十川」を渡河し、歴史と自然に恵まれた観光都市四万十市(旧中村市)に位置しています。橋梁形式は、RC橋脚と鋼床版箱桁を剛結した最大支間145mの連続複合ラーメン箱桁で、4径間(100+144.4+145.1+62)+3径間(75+85+85)からなる橋長約700mの橋梁です。基礎形式は、経済性、工期、河川環境への影響に留意し、鋼殻設置型のニューマチックピアケーソンを採用しています。

 

当社は、20年以上も前から本橋の事業に関わっており、1988年の景観検討業務に始まって、1999年からは景観検討委員会の運営、予備設計業務、詳細設計業務を担当してきました。その過程において、右岸側のアプローチは、大規模な切土法面を回避するためにトンネル構造とし、さらに、トンネル坑口部の切土を抑えるために橋台と坑口を一体化させるなど、橋梁景観だけでなく前後の道路構造を含めた全体景観に配慮しました。

また、詳細設計業務完了後も、桁架設直前に大きな色見本を用いて、鋼桁塗装色を現地で発注者とともに検討するなど、当社は計画から完成の段階まで、設計者の立場で事業者と密接に伴走し、2009年3月に本橋は供用にいたりました。なお、本橋の景観検討業務に対しては、2001年に国土交通省四国地方整備局から優良業務表彰と優秀技術者表彰をいただきました。

四万十川上流側から見た全景

四万十川上流側から見た全景

橋梁計画においては、四万十川流水部の支間長を、背割堤※1を跨ぐ支間長と同規模に拡大することで、視覚的なバランスを確保し、これによるコスト増は、新形式の橋梁構造を適用することで圧縮に努めました。また、意匠デザイン面では、桁高変化曲線への3次曲線の適用と橋脚断面形状への楕円形(3心円)の適用により、見た目の印象を和らげています。その他にも、鋼桁現場継手部における現場溶接の採用、足場用吊り金具の省略や排水管を極力目立たせない工夫など、細部にわたって十分な景観的配慮を加えました。なお、鋼桁塗装色には、日本の伝統色である「瓶覗き※2」という微妙な色合いを用いたことで、湿潤な気候と小京都中村にある橋としての存在に配慮できたと思っています。

 

※1:「背割堤」とは、二河川の間にある堤防で、合流点を下流へ移し、水位差による影響を軽減させる堤防のことです。架橋地点の背割堤は、四万十川と中筋川の間にあり、四万十川の増水時における「中筋川低地帯の水没防止」を目的に設置されたものです。
※2:「瓶覗き」の「瓶」は藍瓶のことで、糸や布を藍瓶にちょっと潜らせ染め出される色に由来する色名です。藍染めは薄い色の段階では緑色ですが、瓶覗きは緑みを含まず藍染めで染めたもっとも淡い青色をさします。

 

所 在 地

高知県四万十市

発 注 機 関

国土交通省四国地方整備局中村河川国道事務所

新天門橋橋梁予備設計業務

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写真上:新天門橋の完成予想フォトモンタージュ(右側が現天門橋)


周辺に調和しながらも四十数年の技術的進展が感じられる橋


現天門橋は、九州本島と天草諸島を繋ぐ天草五橋の1号橋として1966年完成し、当地の産業振興や生活環境の向上に重要な役割を果たしています。三角ノ瀬戸を跨ぐ最大支間300mは、完成当時、連続トラス橋として世界一を誇り、第一回土木学会田中賞に輝いています。

このような歴史を持つ天門橋に並んで、新たに架けられる新天門橋は、熊本天草幹線道路整備の一環として建設される自動車専用橋で、「周辺に調和しながらも四十数年の技術的進展が感じられる橋」をコンセプトととして予備設計を進めました。

 

橋梁形式選定においては、大学教授を含めた有識者で構成される「新天門橋技術検討委員会」の助言もふまえて、トラス橋、エクストラドーズド橋、アーチ橋の比較から、以下の理由で「鋼PC複合アーチ橋(中路式)」を選定しました。

検討用模型

検討用模型

  • 地形に納まる美しさに秀でるという素質を有するとともに、経済性にも優れる。
  • 三角ノ瀬戸を一跨ぎする姿は、現天門橋と「地形状況への対応の姿」として調和し、長大支間橋としても技術的進展が見てとれる。
  • 複合構造部については今後の検討が重要であるが、維持管理の面でも比較優位と判断できる。

 

一般図

選定案は、鋼箱製のアーチリブを支間長348m(ソリッドリブ形式では日本一の支間長)で両端を固定支持とし、補剛桁は中央径間を鋼箱桁、側径間をPC箱桁で構成しています。なお、本橋の詳細設計は、平成22年3月に完了し、現在、工事発注手続きがなされています。いよいよ平成25年度より工事着工の予定です。

熊本県のホームページ 「新天門橋を架ける」にて、詳しい事業内容などをご覧いただけます。

 

所 在 地

熊本県上天草市大矢野町地内~熊本県宇城市三角町地内

発 注 機 関

熊本県土木部

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