事業・技術紹介

伊良部大橋

伊良部大橋(主航路部)

伊良部島は、沖縄本島から南西方に約310キロ離れた宮古島の北西に位置します。伊良部島と宮古島間は、定期船での往来が可能でしたが、悪天候による欠航や、夜間や早朝の緊急医療の対応、教育、福祉など様々な離島特有の問題を抱えていました。昭和49年(1974 年)、伊良部村が宮古島と安全に行き来出来る架設要請を始め、41 年の歳月が過ぎた平成27年(2015 年)1月31日、伊良部大橋の開通式を迎えました。

亜熱帯地域の宮古地方、爽快な空と海の青さはすばらしく、美しい光景です。しかし、橋にとっては、灼熱の太陽が照りつけ、塩分を含む熱風に曝される厳しい環境にあります。また、台風が強い勢力のまま通過することが多く、風速もその頻度も非常に高い地域となっており、伊良部大橋主航路部の設計基準風速はU33= 82.2m/2に設定しています。このような厳しい塩害・強風環境の中でも 100 年間の耐久性を確保するため、大日本コンサルタント株式会社は、株式会社中央建設コンサルタントとのJVで主航路部の詳細設計を、また全線に対する景観デザインを担当しました。

 

橋梁形式

本橋の主航路部は、当初、アーチリブが上方に開き、アーチリブ同士が上方で横につながれていない中路式の鋼アーチ橋で計画されていました。暴風によりアーチリブが大きく揺れ、繰り返し揺れることで起こる疲労損傷や損傷後の補修が困難になることから、100年間の耐久性に問題があることがわかり、橋梁形式の見直しが行われました。橋梁形式の見直しは、耐風対策や塩害対策を考慮した維持管理費の縮減から、飛来塩分の付着量を減らし塗装の塗替えを軽減できる、表面積が少ない8角形の単箱桁断面の鋼床版箱桁橋に決定しました。伊良部大橋_断面図

伊良部大橋_側面図

 

耐風設計

上面傾斜角θと平場長L_02本橋の耐風設計では、エッジ断面の上面傾斜角θと平場長Lが異なる6ケースを用意し、たわみ渦励振(限定振動:照査風速82.2m/s)とフラッター(発散振動:照査風速108.5m/s)に着目して縮尺1/64の2次元模型風洞試験を実施しました。その結果、上面傾斜角θ=18°,L=1.399m(実長)とする断面形状が、渦励振を抑制する耐風安定性上最も優位な断面であることがわかりました。フラッターはいずれの断面も発生しませんでした。

伊良部大橋は、海上面から路面までの高さが非常に高いため、自転車に乗った人や通行等による海への転落事故を防ぐために、車両防護柵支柱に手摺を25cm嵩上げしました。その影響についても縮尺1/20の2次元模型風洞試験により確認しました。縮尺1/64より模型精度の高い縮尺1/20の風洞試験でも、渦励振は発生しませんでした。

嵩上げされた車両防護柵架設時では、地覆・車両防護柵を設置しない断面で2次元模型風洞試験(照査風速59m/s)を実施しました。その結果、許容振幅をはるかに超えるたわみ渦励振が発生することがわかりました。そこで、完成時断面と同じ空力特性とする(地覆・車両防護柵を架設時から設置)ことで渦励振を抑制しました。

 

耐久性設計

厳しい塩害環境の中で100年間の耐久性を確保するため、伊良部大橋主航路部の防食には現時点で最も耐食性が期待できる「アルミニウム・マグネシウム合金(Al95%-Mg5%)溶射」を採用しました。国内での実績はこの橋梁規模では初めてで、安定した品質の確保が容易ではないことが懸念されたことから、塗装防食便覧におけるC-5塗装系との組合せで重防食塗装として使用することにしました。アルミニウム・マグネシウム合金溶射は、犠牲防食により鋼材を保護するもので、耐磨耗性に優れ自己修復機能を有している特徴があり、北海油田など海洋構造物の防食用として海外で実績のある防食法です。

構造詳細の配慮は、桁外面には塩分付着をさせないように突起物を最小限としました。また、現場塗装が必要となる現場継手部を極力減らために箱桁の大ブロック化を図りました。本橋には断面中央に農水管等が添架されており、桁の端部は複雑な部材が入り組んでいるため、桁内へ塩分の流入を防ぐために、桁端部に蓋をしました。

排水装置路面排水装置_04排水装置は、桁を貫通させた排水管を設置するのが一般的ですが、主航路部では防食塗装が困難な排水装置取り付け金具を必要とせず、路面に降った雨水は鋼製地覆の開口から外へ直接排出する案を計画しました。排出には汚れが目立ないように鋼製樋も考えましたが、汚れそのものはあっても目立たず、逆に橋に付着した塩分を雨水によって多少なりとも洗い流すことに期待できるというメリットの方が大きいことから、主桁の張出し部上面から側面、下面と流れ、支承付近に設置した水切りによって海上に流すことにしました。

 

景観設計

伊良部大橋_景観検討耐風安定上決定される主桁一般部の断面形状を変えることなく、桁高が変化する中間支点部に着目して、桁形状と橋脚形状をデザインしました。対象の主航路部は陸上からは2km以上離れているため細部形態を見ることはできませんが、橋の下を通過する船舶などの視点が存在します。この見え方から、「控えめで正調(規則正しい)な形態」が景観上望ましいと判断し、主桁の中間支点部は桁高変化が際立つA案を採用し、下部工については直線要素で造形される直線バチ案としました。

主航路部の桁色は海の色が映り青みがかかって見えますが、マンセル値N7.5(明るい灰色)の無彩色が採用されています。

伊良部大橋の親柱宮古島側の親柱は、島を代表する英雄「久松五勇士」をモチーフにできないかとの要請を受け、5枚の壁が海を守るように囲む形をイメージしたデザインとしています。

伊良部島側の親柱は、サシバをイメージしたデザインとなっています。

※久松五勇士
日露戦争の日本海海戦の直前、ロシアバルチック艦隊の到来を本土に伝えるため、170㎞の距離を15時間かけてサバニを濃ぎ、決死の思いで石垣島に渡った5人の勇士。宮古島や石垣島では郷土の英雄とされています。

 

上部工架設計画

主航路部の上部工の架設計画は、珊瑚へ影響なく品質を確保するため、主桁を3つの大ブロックに分割し3000t吊級のクレーン船で架設する計画としました。(実際は4000t吊のクレーン船)中央径間部の大ブロック桁を最後に落とし込むには、吊っている桁と架設済みの桁とが衝突しないように隙間をあける必要があります。予め伊良部島側の側径間桁を250mm伊良部島側へずらして架設し、中央径間架設完了後に伊良部島の桁をもとの位置にもどす架設としています。それを可能とするには大ブロック架設に設置したセッティングビーム(FC架設後に仮受けする桁)もスライドできるようにしています。また、セッティングビームに移動足場(架設後、継手位置に移動する足場)を載せ、継手部の溶接、溶射、塗装ができるように工夫しました。

3000t吊FC大ブロック架設概要図

セッティングビームと移動足場

仮置きされた中央径間ブロックのセッティングビームと移動足場

架設時期は波が比較的穏やかで、台風が通過しない3月下旬から5月までの時期としました。施工条件により大ブロックの地組立は宮古島周辺の港での組立でしたが、実際の施工では、製作工場で大ブロック地組立となり、海上輸送は動揺の危険を防ぐために計測しながら運搬されています。2012年4月28日に伊良部島側、5月16日に宮古島側の側径間が架設され、中央径間は天候不順で延期を余儀なくされ、翌年2013年4月に架設を完了しています。

伊良部大橋_架設写真_01

実橋計測・試験結果からの考察

本橋は、風観測結果や載荷試験等がなされ、その結果については別途報告がなされております。その報告では設計で設定した数値は妥当であったという報告がなされております。
その中の構造減衰(対数減衰率)に着目して考察します。
橋を設計する時点では実際の橋の構造減衰は不明ですので、既往の橋を調査して推定した道路橋耐風設計便覧の推定式を用います。本橋は、分類として「けた橋」で、「ゴム支承の場合」の推定式(0.35/√L,L:最大支間長180m)で計算しますと0.026という値になります。本橋は桁の外面はボルト継手がなく、例のない桁断面形状でしたので、推定式より低いのではと懸念されました。そのため、構造減衰を0.02と低めに設定して検討を行いました。今回の載荷試験結果は平均0.029でしたので、耐風安定性上は揺れを止める力が設計推定値より大きく安全側にあります。また、本橋の場合でも便覧の推定式を用いてよいことがわかりました。

 

こうして完成した橋は、本橋のために設置された数々の委員会、設計・施工に携わった多くの方々、事業主である沖縄県の成果です。主航路部の詳細設計、および全線にわたる景観デザインの担当として、約10年間本事業に携わることができたことは誠に光栄であり、今後とも市民とともに見守り続けていきたいと思います。

 

橋   名
伊良部大橋(主航路部)
所 在 地
沖縄県宮古市平良字久貝~伊良部字池間添地先
事 業 主
沖縄県宮古土木事務所
橋   長
420m
支 間 長
119 +180 +119m
構 造 形 式
3径間連続鋼床版箱桁橋
工   期
詳細設計 平成21年2月~平成22年3月

 

ニャッタン橋|日越友好橋

ニャッタン橋

ベトナムの首都ハノイ市の新たな玄関口

ニャッタン橋(日越友好橋)は、ベトナムの首都ハノイ市における物流の効率化、交通渋滞の緩和を目的に、ノイバイ国際空港からハノイ市中心部を繋ぐ環状2号線の一部として日本のODAにより建設された橋梁です。当社は、株式会社長大との共同企業体で本プロジェクトに参画し、主橋梁部の詳細設計および施工監理を実施しました。

ニャッタン_全体側面図

ニャッタン橋は東南アジア最大級の橋梁で、その総延長(取付橋部を含む)は3,755mに及びます。紅河をまたぐ主橋梁部は、河床の経年変動を考慮し、橋長1,500m(中央径間長300m)の6径間連続合成2主I桁斜張橋が選定されました。

上部工は鋼製2主I桁とプレキャストRC床版との合成桁構造とし、主ケーブルは被覆平行線ストランドを採用しています。主塔はA型の鉄筋コンクリート製とし、塔頂に鋼製ケーブルアンカーボックスを設置しました。基礎工には、日本発の技術である鋼管矢板井筒基礎がベトナム国では初めて採用されました。

ニャッタン2CIMG0956w2

2007年2月の詳細設計開始から約8年を経て、2015年1月4日に完成式典を迎え、供用が開始されました。ニャッタン橋は日越友好橋とも呼ばれ、日本とベトナムとの友好関係を象徴するとともに、ハノイ市の新たなシンボルとなっています。

ニャッタン橋開通後の様子

 

架 橋 位 置
環状2号線(ハノイ市中心部~ノイバイ国際空港区間)紅河渡河部
事 業 者
ベトナム国交通運輸省・第85プロジェクト管理局
橋   長
全橋長:3,755m、主橋梁部:1,500m
支 間 長(主橋梁部)
150m+4@300m+150m=1,500m
総 幅 員(主橋梁部)
総幅員35.6m、有効幅員30.4m
構 造 形 式
上部工 6径間連続合成2主I桁斜張橋
主  塔 鉄筋コンクリート製A形主塔
下部工 鋼管矢板井筒基礎

志賀ルート

志賀ルート

土木学会デザイン賞2001最優秀賞受賞

 

自然と共有する道づくり

志賀高原の豊かな自然環境は、豊富な水源とそれを基盤にした原生自然にあります。志賀ルート建設に伴い、このエリアで成立している生態系へのインパクトを最小限に食い止めるよう現地調査を重ね、有識者へのヒアリング等も参考に出来る限りの配慮を行いました。

志賀高原の水は、人々の飲料水、温泉の水源、さらに動植物の生息環境の糧として重要な資源であり、その水源周辺は上信越国立公園特別保護地区にも指定されています。当該道路のルート選定にあたっては、特に水源への影響を回避する道路設計を行いました。

 

生態系に配慮した道路線形

志賀ルート

地山に沿った道路線形を基本に横断勾配の大幅な改良はせず、新たな土地に改変を極力避けることにより、沿道の森林植生の保全に努めました。

道路周辺に生息する動物たちの環境を守るため、極力土工構造による地域の分断や地形改変は避け、橋梁やトンネルを用い動物の生息環境を保全しました。また、やむを得ず移動経路を分断する箇所には動物専用のトンネルを数カ所に設置しました。なお、移動経路設置後、動物がこれを利用していることを確認しています。

地形に沿った線形

 

動植物の生息環境や景観に配慮した法面構造

表土は1cmできるのに100年から400年かかるといわれます。工事時に、まずその表土を丁寧に採取・保管し、これを新設法面に移すことで自然の復元力に期待しました。今では道路法面に樹木が成長し、緑豊かな道路となっています。この巨石積み擁壁および表土復元による法面形成は、植生の保全や景観上好ましいばかりでなく、小動物の生息場所として機能します。

巨石積みの緑この志賀ルートにある法面は、特にトンネル工事中現地で掘り出された巨石を空積みして造られています。これにより、山の呼吸を促し木本類の生育を容易にすると同時に、自然環境に調和した道路構造を実現しました。

 巨石の緑

 

周辺環境と調和した橋梁デザイン

志賀ルート山岳部に計画された3つの長大橋および中小橋梁は、豊かな自然環境を極力改変することなく、また既存景観を阻害することのないように注意深く計画を行いました。

 橋梁計画における統一配慮事項として、斜面上の基礎工施工に地山の改変が少ない深礎工法を採用し、上部工は周辺植栽に影響が少ない架設工法を選定できる鋼桁を採用しました。各橋梁の橋脚は形態・架橋位置に相応しいデザインを個々に検討しました。

なお、フェイシアラインの連続、橋台部の形態調整、付属物処理など、各部のディテールについても相応しい配慮を随所に施しています。

十二沢橋:八角柱T型橋脚

坊平橋:円柱T型橋脚

清水沢橋:大きな面取りを施した壁式橋脚
清水沢橋

 

所 在 地

長野県下高井郡山ノ内町志賀高原

事 業 者
長野県 中野建設事務所
竣 工 期 間
1993年〜1997年

築地大橋

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隅田川の新たなゲート

「東京都市計画道路環状第2号線」は、並行する晴海通りの渋滞緩和や地域交通の円滑化、地域防災性の向上を整備目的として計画されました。「東京都市計画道路環状第2号線」に計画された築地大橋は「建設後100年を経てもなお東京都民の誇りとなる橋」をコンセプトとしており、橋梁構造から細部までの一貫したデザインと、上部工・下部工の詳細設計を当社が担当しました。6車線+両側歩道の広幅員に対して、力学的に安定した長寿命の美しい橋としてアーチ形式が採用されました。

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 歩道側にアーチリブを約14度傾けた特徴的なシルエットのアーチ橋が選定され、車道上部に横支材を必要としないデザインは、通行時の圧迫感がなく、景観の観点から周囲との調和を図っています。歩道部は、緩やかなカーブにより車道から分離されており、河川中央付近では、見晴らしの良い景色を臨むことができます。

隅田川橋りょう(仮称)横断図

歩道側に約14度傾けたアーチリブからアーチ面内に配置した吊材(ケーブル)は、主に車道を支え、アーチリブからの鉛直材は歩道を支えています。地震時には、アーチリブ、吊材、鉛直材で形成された三角形により、面外座屈を抑制します。その結果、アーチ断面をコンパクトに抑えることができました。

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隅田川に架かる、重厚なイメージのアーチ橋である永代橋や、橋門構を想起させる横繋ぎ材を有する勝鬨橋とは異なり、築地大橋は、アーチリブが左右に14°傾斜した横繋ぎ材のない双弦アーチを採用した日本に前例のない新しい構造です。広幅員を有する道路橋にアーチ形式を適用する場合に有効な提案ができたと考えています。

築地大橋(2015年2月撮影)

築地大橋・アーチ

 

築地大橋の架設工事

2014年5月8日、「東京都市計画道路環状第2号線」築地大橋の中央径間大ブロック(アーチ部分)架設工事が実施されました。

隅田川は、川幅が約220m、中央航路が約100mで水上交通量が多いことから、航路の閉鎖時間を短くできる大ブロック架設工法が選定され、部材は海上輸送とし、地組みヤードは最寄りのふ頭を利用しました。

平成26年9月30日に「築地大橋」と名称が決定されました。

 

架 橋 位 置
中央区勝どき五丁目から同区築地五丁目地内
事 業 者
東京都
担 当 部 署
東京都第五建設事務所(建設局)
橋   長
245m =(50m+145m+50m)
支 間 長
49.85m+145.00m+49.85m
総 幅 員
32.30m 〜 48.00m
幅 員 構 成
4.00m(自転車歩行者道部)+ 2×10.25m(車道部)+ 4.00m(自転車歩行者道部)
構 造 形 式
上部工 鋼3径間連続中路式アーチ橋
下部工 A1橋台:逆T式 橋脚:壁式 A2橋台:壁式基礎工
A1橋台:鋼管杭 橋脚:鋼殻ケーソン A2橋台:場所打ち杭

老朽化した八敷代橋の撤去

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 山形県最上郡真室川町の八敷代(はっしきだい)橋は、県道真室川鮭川線が八敷代川に架かる橋長60m、幅員4mの鋼ブレストアーチ橋で、1953年に竣工しました。2010年11月まで供用されていましたが、200m下流において新たなバイパスが開通(新橋も当社が設計を担当)したことに伴い、老朽化した旧橋が撤去されることになりました。

 

V型成型爆破線を使用した爆破による落橋撤去

谷底に落下した八敷代橋

谷底に落下した八敷代橋

爆破を見守った工事関係者と地元の人々

爆破を見守った
工事関係者と地元の人々

旧橋の撤去にあたっては、河川管理者(真室川町)や地元漁協の了解が得られたこともあり、爆破による落橋撤去案を提案し、採用されました。これは、舗装や床版コンクリートを取り除いた橋体をV型成型爆破線という金属切断用の特殊爆薬で爆破落橋し、落下した鋼材を小割りして回収する方法で、ケーブルクレーンを利用する従来工法と比べて、費用は6割程度に抑えることができます。なお、この爆薬を使用した橋梁の撤去は珍しく、今回が全国4番目(道路橋では2番目)の事例となりました。

 2011年2月7日の爆破落橋当日は、現地見学会が催されました。橋体が爆破されると大音響とともに黒煙が立ちあがり、一瞬にして谷底に鋼材が落下していく模様を工事関係者と地元の人々が見守りました。谷底に落下した鋼材は約1ヶ月掛けて回収され、再利用されます。

 

 

所在地

山形県最上郡真室川町

発注機関

山形県最上総合支庁建設部

八敷代橋の爆破解体の模様を動画形式でご覧いただけます。

 

新天門橋橋梁予備設計業務

Shin-tenmon Bridge

写真上:新天門橋の完成予想フォトモンタージュ(右側が現天門橋)

周辺に調和しながらも四十数年の技術的進展が感じられる橋

現天門橋は、九州本島と天草諸島を繋ぐ天草五橋の1号橋として1966年完成し、当地の産業振興や生活環境の向上に重要な役割を果たしています。三角ノ瀬戸を跨ぐ最大支間300mは、完成当時、連続トラス橋として世界一を誇り、第一回土木学会田中賞に輝いています。

このような歴史を持つ天門橋に並んで、新たに架けられる新天門橋は、熊本天草幹線道路整備の一環として建設される自動車専用橋で、「周辺に調和しながらも四十数年の技術的進展が感じられる橋」をコンセプトととして予備設計を進めました。

橋梁形式選定においては、大学教授を含めた有識者で構成される「新天門橋技術検討委員会」の助言もふまえて、トラス橋、エクストラドーズド橋、アーチ橋の比較から、以下の理由で「鋼PC複合アーチ橋(中路式)」を選定しました。

検討用模型

検討用模型

  • 地形に納まる美しさに秀でるという素質を有するとともに、経済性にも優れる。
  • 三角ノ瀬戸を一跨ぎする姿は、現天門橋と「地形状況への対応の姿」として調和し、長大支間橋としても技術的進展が見てとれる。
  • 複合構造部については今後の検討が重要であるが、維持管理の面でも比較優位と判断できる。

一般図

選定案は、鋼箱製のアーチリブを支間長348m(ソリッドリブ形式では日本一の支間長)で両端を固定支持とし、補剛桁は中央径間を鋼箱桁、側径間をPC箱桁で構成しています。なお、本橋の詳細設計は、平成22年3月に完了し工事発注手続きがなされ、平成26年度より工事着工しています。

熊本県のホームページ 「新天門橋を架ける」にて、詳しい事業内容などをご覧いただけます。

所 在 地

熊本県上天草市大矢野町地内~熊本県宇城市三角町地内

発 注 機 関

熊本県土木部

調布鶴川陸橋

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上写真:工事後 2003年4月撮影

都市内の立体交差化事業  ~スピードに挑戦する~

鶴川街道は、東京都西部にある多摩地域を南北に結ぶ主要な幹線道路ですが、調布市の住宅地において京王電鉄と平面交差していました。そのため、この踏切では慢性的な交通渋滞が発生し、朝夕のラッシュ時には踏切遮断時間は最大34分/時間、渋滞延長は最大400mにもなっていました。当時の鶴川街道は、2車線から4車線への拡幅整備中であり、事業用地が概ね確保され、工事に一部着手している状況でした。また、この時点では京王電鉄の地下化は10年程度を要すると予測されていました。

工事前2002年6月当時 旧甲州街道から調布第5踏切を望む

工事前2002年6月当時
旧甲州街道から調布第5踏切を望む

旧甲州街道(北側)から望む

旧甲州街道(北側)から望む

走行アニメーション

走行アニメーション

 東京都は、事業用地を活用して現況交通を確保しながら、短期間に踏切渋滞の解消を図る「踏切すいすい事業」の一環として、京王電鉄を跨ぐ仮設道路橋「調布鶴川陸橋」の建設を決定し、当社が設計を担当いたしました。2001年単年度で事業計画、道路・橋梁予備設計及び詳細設計を完了させ、橋梁詳細設計の途中段階から工場製作に着手し、合計約2年という驚異的なスピードで2003年3月末に供用が開始されました。わずか10ヶ月で跨線橋を建設したことは、地元でも話題となり、渋滞により自動車のアイドリング・発進が繰り返され排気ガスと騒音に悩まされていた住民の方からは、「調布鶴川陸橋」供用後は、「何十年ぶりに小鳥の鳴き声が聞こえた。朝の空気もおいしい。」というお話をいただきました。

新聞紙上や技術雑誌等で数多く公表された東京都の「踏切すいすい事業」は、当社の提案が随所で取り上げられました。具体的には、短期間に地域住民や警察等との対外協議を実施するため、CG(走行アニメーション、フォトモンタージュ等)を活用し、できるだけ詳細に視覚化して意思疎通を図り、合意形成に至ったことです。他、工事の上・下部工一括発注方式を提案し、事業全体の工期短縮を図ったこと、さらに、工場製品を多用し、現場での工事期間・作業の最小化とともに、工事(建設および撤去)に伴う2次渋滞や騒音等の住環境に配慮した施工計画等を立案したことです。

この「調布鶴川陸橋」の事業を契機に、当社の技術提案は、形を変えて大手施工会社に取り入れられ、急速施工に関わる多くの技術開発につながりました。なお、現在は京王電鉄の地下化が終了し、本仮設道路橋は2014年度に撤去されています。

所 在 地

東京都調布市

発 注 機 関

東京都北多摩南部建設事務所

複合ウェル工法

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変断面複合杭基礎工法

(関連特許/PCウェルを使用した変断面構造物の結合部構造:特許第3796605号)

複合ウェル工法は、橋梁などの基礎構造に適用可能な工法であり、PCウェル工法の途中から先端部にかけて小杭径の場所打ち杭を使用した変断面複合杭基礎工法です。杭長が20m程度以上になると、従来の工法より経済性が向上し、工期短縮、環境負荷の軽減などが期待されます。

当社は、日本ヒューム株式会社と複合ウェルの共同開発を行うなかで、実物大の施工実験や載荷試験などを実施し、その施工性および安全性を検証しました。

  複合ウェル工法パンフレット (1,879KB)

概要

標準規格

設計

施工

実験結果

適用可能例(イメージ)

概要

複合ウェル工法の概要

複合ウェル工法は、PCウェル工法(※)の途中から先端部分にかけて杭径を小さくした場所打ち杭工法を用い、一体となるように接続した『変断面複合杭基礎工法』です。一種の『拡頭杭基礎工法』と見なすこともできます。

※PCウェル工法:プレキャスト製コンクリートブロックを圧入により沈設しながら接合し、ポストテンション方式でプレストレスを導入して構造物を構築する工法のことです。近年、PRC構造の採用も含め更なるコスト縮減がはかられています。

複合ウェル工法の特徴

    1. 途中から場所打ち杭を使用することにより、杭長が20m程度以上になると経済性が向上します
    2. 途中から場所打ち杭を使用することにより、工期が短縮できます
    3. PCウェル圧入装置の規模縮小など仮設装備が簡易となるため施工性が向上します
    4. PCウェル工法は中堀圧入式施工であるため、周辺地盤のゆるみや崩壊を防止でき、近接施工に適しています
    5. 低振動・低騒音でスムーズな施工が可能です
    6. 水上施工の場合、仮締切、築島などを必要としません
概要図

概要図

抵抗曲げモーメント図

抵抗曲げモーメント図

試験体全景

試験体全景

複合ウェル2015を掘り出した結果、所定の出来型を確認しています

基準規格

基本組合せ

呼び名 PCウェル 単体ブロック仕様 場所打ち杭
公称径
D2 (mm)
PCウェル
単体ブロック
長さL (m)
PCウェル 単体ブロック質量W
(t/ブロック)
外径 D1 (mm) 壁厚 T (mm) 内径 Di (mm)
1612 1,600 170 1,260 1,200 2.5 4.78
2015 2,000 210 1,580 1,500 2.5 7.38
2518 2,500 250 2,000 1,800 2.5 11.05
3020 3,000 300 2,400 2,000 2.5 15.91
3525 3,500 350 2,800 2,500 2.5 21.64
3830 3,800 380 3,040 3,000 2.0 20.42
注1:場所打ち杭の公称径は最大値を示します。
注2:φ3800PCウェルは、運搬上の制限があるため、採用にあたっては検討を要します。

設計

複合ウェルの設計は道路橋示法書に準拠して行います。

設計フロー

設計基準値

複合ウェル工法に用いるコンクリートの設計基準値は以下のようになります

PCウェル          (N/m㎡)

設計基準強度 50
ヤング係数 3.3×

場所打ち杭          (N/m㎡)

設計基準強度 24
呼び強度 30

施工

複合ウェルの施工は、PCウェル工法と場所打ち杭工法の合併であり、下記に施工手順を示します。

施工一般配置例(複合ウェル2015)

PCウェル施工状況

PCウェル施工状況

場所打ち杭施工状況

場所打ち杭施工状況

施工順序図(参考例)

 

実験結果

複合ウェルの開発に伴い、施工試験および載荷試験などを行いました。

施工試験

2015の実物大施工試験により、その施工性および接続部の健全性を検証しています。

試験体引抜き状況

試験体引抜き状況

試験体切断部状況

試験体切断部状況

接続部押抜載荷試験

押抜載荷試験を行い、応力状態、軸力の伝達機構および破壊性状を検証しています。

供試体概要図

供試体概要図

載荷試験状況

載荷試験状況

供試体切断状況

供試体切断状況

適用可能例(イメージ)

陸上部施工
(道路橋下部基礎に適用可能)
都市内施工
((モノレール等の基礎に適用可能)
近接施工
(デッキ等基礎に適用可能)
海上部施工
(道路橋下部基礎に適用可能)

NE-桁衝突工法

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橋桁遊間部に間詰材を充填し地震慣性力を低減する耐震補強工法

NE-桁衝突工法とは

NE-桁衝突工法は、既設の橋梁に対して橋桁の遊間部に安定的な圧縮性能を持つゴムなどを充填し、橋梁の耐震性能を高める工法です。橋台と橋桁の間をゴムなどで埋めることで、地震時における橋桁の揺れを和らげることができると同時に、橋脚最上端部の動きを小さくすることで橋脚への負担を減らし、橋梁全体の破損を防ぎます。

また、当工法は橋梁の上部工形式、規模を問わず適用可能であり、従来から耐震補強対策として用いられる巻立て工法と比べて大がかりな橋脚の補強工事の必要がないことから、経済性・施工性に優れた工法になっております。  現在、国土交通省では既設橋梁の耐震補強を推進しており、今後、橋梁の耐震整備コストを低く抑えられる当工法の活用が期待されています。

特 徴

  • 仮桟橋・仮締切りが必要となる河川橋や施工条件の厳しい橋脚に対して、大幅なコスト縮減がはかれます。
  • 橋脚や基礎を直接補強しないため、環境にやさしい工法です。
  • 橋梁全体の外見を損なわずに補強が可能です。

 NE-桁衝突工法パンフレット(78KB)

猿専用の吊り橋

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餌場への吊り橋 食害被害を防ぐ

富山県黒部渓谷の宇奈月ダム2km上流に、全国でも珍しい猿専用の吊り橋が完成しました。この吊り橋は、ダム湖周辺に生息する野生の猿が、餌場を求めてダム湖の対岸を行き来できるように設置された全長137mの吊り橋で、当社は国土交通省北陸地方整備局黒部河川事務所より設計業務を受託しました。

上流より望む

上流より望む

 吊り橋の設計に当たっては、有識者の意見を踏まえながら構造検討を行い、猿が利用しやすいように歩廊部を幅33cm 、鋼板を30cm間隔に設置した梯子構造としました。なお、吊り橋には手すりが付いていないので、人が渡れないようになっています。
 2005年2月の完成以来、吊り橋を渡る猿の群れの姿が確認されており、野生の猿が餌場を求めて下流域の人里に現れるのを食い止める効果が期待されています。

 

所 在 地

富山県黒部市

発 注 機 関

国土交通省北陸地方整備局黒部河川事務所

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