築地大橋

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平成30年度 土木学会田中賞(作品部門)受賞

隅田川の新たなゲート

東京都市計画道路環状第2号線は、並行する晴海通りの渋滞緩和や地域交通の円滑化、地域防災性の向上を整備目的として計画されました。築地大橋は、東京都市計画道路環状第2号線に計画された橋梁です。

隅田川には勝鬨橋、永代橋や清洲橋等に代表される名橋があります。その隅田川の河口に新たな第一番目となる橋梁のふさわしい姿を求め、平成16年度橋梁形式選定委員会が設置され、「22世紀にも建設意思が伝わる橋」がデザインコンセプトとして採択されました。その後、同委員会において、6車線+両側歩道の広幅員に対して力学的に安定した長寿命の美しい橋として上横支材のない双弦アーチ形式が採用されました。また、平成20年度には景観意匠検討委員会が設置され、アーチリブ曲線等の構造ディテールならびに橋面施設デザイン等が採決されています。

当社は各委員会の運営補助および橋梁構造から細部までのデザインと、上部工・下部工の詳細設計を担当しました。

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歩道側にアーチリブを約14度傾けた特徴的なシルエットのアーチ橋が選定され、車道上部に横支材を必要としないデザインは、通行時の圧迫感がなく、景観の観点から周囲との調和を図っています。歩道部は、緩やかなカーブにより車道から分離されており、河川中央付近では、見晴らしの良い景色を臨むことができます。

隅田川に架かる重厚なイメージのアーチ橋である永代橋や、橋門構を想起させる横繋ぎ材を有する勝鬨橋とは異なり、築地大橋は、横繋ぎ材のない双弦アーチを採用した日本に前例のない新しい構造です。広幅員を有する道路橋にアーチ形式を適用する場合に有効な提案ができたと考えています。

隅田川橋梁 横断図

隅田川橋梁 側面図

 


築地大橋の架設工事

2014年5月8日、「東京都市計画道路環状第2号線」築地大橋の中央径間大ブロック(アーチ部分)架設工事が実施されました。

隅田川は、川幅が約220m、中央航路が約100mで水上交通量が多いことから、航路の閉鎖時間を短くできる大ブロック架設工法が選定され、部材は海上輸送とし、地組みヤードは最寄りのふ頭を利用しました。

平成26年9月30日に「築地大橋」と名称が決定されました。

 

架橋位置 中央区勝どき五丁目から同区築地五丁目地内
事業者 東京都
担当部 東京都第五建設事務所(建設局)
橋長 245m =(50m+145m+50m)
支間長 49.85m+145.00m+49.85m
総幅員 32.30m 〜 48.00m
幅員構成 4.00m(自転車歩行者道部)+ 2×10.25m(車道部)+ 4.00m(自転車歩行者道部)
構造形式 上部工 鋼3径間連続中路式アーチ橋
下部工 A1橋台:逆T式 橋脚:壁式 A2橋台:壁式
基礎工 A1橋台:鋼管杭 橋脚:鋼殻ケーソン A2橋台:場所打ち杭