音源探査装置による騒音源の特定
当社は、株式会社高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)からの業務委託において、音源探査装置を活用した道路交通騒音の騒音源を効率的に特定する調査方法に関する研究を行いました。
音源探査とは
音源探査は、既存の音源探査装置を道路交通騒音の調査に適用することで、苦情の原因となる騒音の発生源を効率的に特定する調査技術です。
高速道路周辺は、複雑な音場環境です
- 高架橋に設置されている遮音壁の上から回り込む上空伝搬音
- 橋梁の本体から発生する構造物音
- 併設する一般道からの騒音が構造物に反射し伝わる反射音 など
音源探査装置の概要
マイクロホン・アレイ |
フロントエンド及び測定用パソコン |
- 音源探査装置(ブリュエル・ケアー社製、NEXCO総研が所有)は、放射状に配置された42chのマイクロホンアレイ、騒音データを格納する装置本体(フロントエンド)、装置の制御及び計測データの分析を行うパーソナルコンピューターにより構成されています。
- 従来の方法で騒音の発生源を特定する際には、騒音計や分析器等の機材や人員を多数必要とし、橋梁部では設置に高所作業が必要になりますが、この音源探査装置一式で同様の測定が可能となるため、安全かつ効率的な調査を実施できます。
音源探査事例
音源探査により、騒音の発生源を容易に特定することができます。
ジョイント音の特定 |
遮音壁未設置個所からの漏洩音 |
- 騒音源の可視化により、対策必要箇所を特定できるため、効率的な保全対策の実施が可能です。
- また、騒音対策を施した場合の騒音低減量を事前に推計することも可能です。
(特許出願中:NEXCO総研との共同出願)
音源探査の測定原理(ビームフォーミング法)
この測定原理はビームフォーミング法といいます。同一平面に多数のマイクロホンを配置し、複数のマイクロホンで計測した信号に対し、時間差Δtを補正することで信号の和が最大となる方向を見出すことが可能となる技術です。これにより、音の到来方向を定位・識別することが可能となります。