新豊橋

Shintoyobashi

平成19年度土木学会田中賞(作品部門)受賞
2007年度グッドデザイン賞「建築・環境デザイン部門」受賞
土木学会デザイン賞2009最優秀賞受賞

歴史と品格のある隅田川に調和する斬新なデザインの提案

東京都足立区と北区を結ぶ新豊橋が、2007年3月に開通しました。本橋は、隅田川を渡河する32番目の橋長105mの橋梁であり、当社は本橋に関する「詳細設計」、「景観委員会の運営」、さらには「架橋工事監理」を担当しました。

江戸時代以来、市民に親しまれてきた隅田川には、様々な橋が架けられており、水上バスが運行されるなど東京の名所の1つとして広く親しまれています。なかでも、関東大震災からの復興時に帝都復興局によって架けられた永代橋、清洲橋などが重要文化財に指定された橋梁群は、現在も隅田川のシンボルとなっています。このような往時の橋を見習い、現代の都市景観に調和した後世に残る新しい橋を目指し、学識経験者、地域住民代表、独立行政法人都市再生機構などで構成された「隅田川渡河橋景観委員会(委員長:篠原 修 政策研究大学院大学教授)」にて本橋のデザインが検討されました。さらに、地域住民への説明と意見交換も設計の進捗に合わせて実施されました。

写真-1 写真-2
写真-1 第1案:鋼単径間トラス橋 写真-2 第2案:鋼単純ニールセンローゼ橋
第1案:鋼単径間トラス橋 第2案:鋼単純ニールセンローゼ橋
写真-3  写真-4
写真-3 第3案:鋼単径間斜張橋 写真-4 鋼アーチ補剛単純箱桁橋
第3案:鋼単径間斜張橋 鋼アーチ補剛単純箱桁橋

新豊橋は、「日常的な都市生活空間の中の道具としての橋」、「人のぬくもりや時代のメッセージを感じるような橋」、「時代の最先端や新しい発想を取り入れた橋」などをデザインコンセプトとし、橋梁形式の選定においては、線形、橋長、河川条件、地盤条件、その他の各種設計条件を踏まえた形式案を抽出の上、構造性、施工性、経済性、景観の面で比較を行いました。そこで、写真-1~3にあるような既往の形式の全体模型により、建設中の周囲の中高層マンション群との調和という観点から、比較検討を行いました。しかしながら、既往の形式では満足できる形態が見あたらなかったため、先のデザインコンセプトに基づき、写真-4にあるような、桁橋をアーチで補剛する構造で形を洗練させた新たな橋梁形式を考え出しました。

本橋の視覚的な特徴であるアーチ曲線には、手書きのスケッチを数多く繰り返して得られた微妙なラインを採用しました。さらに、細部のデザインまで慎重に検討を行うことで、周辺環境に調和した、他にあまり例のない斬新な橋梁を創出することができました。

新豊橋の夜景

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〈写真提供:八田政玄〉
所 在 地 東京都足立区~北区
発注機関 独立行政法人 都市再生機構 東京都心支社
委員会運営 株式会社URリンゲージ