阿妻川魚道

阿妻川魚道

侵食・堆積作用を利用した生息空間・産卵場の造成

阿妻川では、帯工下流の護床ブロックが流され、1m程度の落差が生じていました。既存の施設である帯工を壊さずに、この落差を少なくして魚がのぼれるようにするため、1段当たりの落差が30cm程度の石組みの帯工を3基追加しました。

阿妻川_ステップ&プール

 

この帯工の形状を下向きのアーチ形状として水を集めてその下流側を洗掘させて淵を創出するとともに、その下流に土砂をやわらかく堆積させて、カワヨシノボリ等の礫間に棲む魚類の生息空間とする事を目指しました。

また、帯工を構築する際に、コンクリートを用いていないため、堆積した土砂から帯工下流の淵に向かって浸透流が発生すると思われ、この部分に水質浄化の機能や産卵場としての機能が期待できます。


コンクリートを使わない構造物の安定性の確保

阿妻川の魚道を形成する帯工は、力石を支点としたアーチ形状をもつ石積み構造としました。力石の大きさは、流体力を考慮し、長手方向に1.8m程度も有る巨石を用いました。

阿妻川_石工職人この石材を、流水に対して抵抗にならないように上流側に頭を下げて設置しました。石積み構造は、崩れ積みの一種である土佐積み形式とし、石材同士のかみ合わせを重視して設置し、コンクリーを使わない構造物の安定性を検討しました。洪水時の乱流に対しては、補助的にアンカーとワイヤーと用いて対処しました。これらについて、石工職人による施工指導を実施しました。