2019年2月22日
当社は2018年4月に開発が完了したドローン「マルコ™」を活用して、国土交通省が発注する新技術を活用したフィールド試行業務(2018年度)に参画しました。それらの業務を通して、橋梁点検のニーズを満たす運用技術や周辺技術の進化を図ることができました。
2019年度は,その成果をもって、実施を想定するフィールド試行業務への対応をさらに拡大していきます。同時に、橋梁点検へのドローン利用ノウハウを社会に提供する仕組み作りもすすめておりますので、その概要をお知らせいたします。
我が国においては、今後10年間で、全国およそ73万橋のうち半数が50歳を超えます。高齢化した道路橋には落橋の危険性もあることから、2014年、近接目視を基本とした定期点検を5年に1回の頻度で実施することが法定化されました。それ以来、毎年およそ15万橋の点検が繰り返されることになりました。近接目視点検では、足場の設置や橋梁点検車を必要とし、通行規制も必要で、技術者不足にも直面している自治体には負担が大きいことが課題となっています。
このような背景のもと、国を挙げて点検新技術の研究開発が進められております。当社は、点検コスト増大の主因となっている近接目視の負担低減を目標に、ドローン技術を活用した空飛ぶデジカメ「マルコ™」を、現実の橋梁点検のニーズに合致するように開発を行いました。
「マルコ™」は、平成30年度に国土交通省が発注した、新技術を活用したフィールド試行業務における試行対象技術のひとつに選定されています。当社は受注した業務で「マルコ™」を活用し、「新技術使用計画の立案」、「特許出願中の飛行安全装置を適用した道路付近でのドローンの飛行に係る国土交通大臣の許可・承認の取得」、「現場での点検写真の飛行撮影および精度管理」から「3次元成果品の納品(※1)」まで業務一式を実施しました。これにより、業務一式としての「マルコ™」運用技術の進化を図りました。
※1 国土交通省 ICT導入協議会 http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/constplan/sosei_constplan_tk_000031.html
要領関係にある「点検記録作成支援ロボットを用いた3 次元成果品納品マニュアル(橋梁編)(案)」を指す。
新技術を活用して近接目視の効率化を図り、点検コストを抑制するためには、様々な周辺技術の統合が不可欠です。そこで当社は、社会実装に向けたスピードを上げるため、保有する建設コンサルタント領域におけるノウハウに基づき、オープンイノベーション手法を積極的に活用(※2)しています。
その一環として、撮影した点検写真から作成する3次元成果品について他社の技術を取り込んでいます。その成果として、これまで難しいとされてきた、コンクリート構造物の画角が小さく精細な点検写真から直接3次元テキスチャモデルを作成することにも成功しました。この成果には、「マルコ™」が構造物との間隔を一定に保持して撮影した同画角の点検写真が寄与しており、互いの技術の連携が奏功したものです。
※2 3次元成果品の納品にあたってのオープンイノベーション成果につきましては、別途、公表予定です。
「革新的技術の導入加速化・横断的展開、導入マッチング」などを緊急的に取り組む施策として掲げています。※3
当社は、国土交通省における新技術を活用したフィールド試行業務が拡大することを想定して取組みをさらに強化します。加えて、国による試行業務件数が増え、成果が蓄積されていけば、同様な試行業務が地方自治体にも波及すると想定しており、こちらへの取組みも積極的に進めていく所存です。
※3 国土交通省 社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会技術部会社会資本メンテナンス戦略小委員会の第21回メンテナンス戦略小委員会(第3期第3回)の配布資料
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s201_menntenannsu01.html
資料3の1枚目のシートにある現場試行を指す。
当社は、国土交通省における新技術を活用したフィールド試行業務を始めとした試行業務への対応を強化するため、「マルコ™に係る人的リソースならびに保有機体の増強」、「当社の支社を基地とする業務実施体制の構築」を進めるとともに、他社案件でのドローン活用に対する支援も進めます。
「マルコ™」の運用技術、及び活用ノウハウの提供を積極的に進めることにより、近接目視の効率化を図り、点検コスト抑制の実現に寄与していきます。同時に、点検から健全性の診断および措置内容の検討まで、優れた技術に裏付けられた維持管理サービス、さらには、一貫したアセットマネジメントシステムの提供を目指していきます。
大日本コンサルタント株式会社
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